税理士法人小林・丸&パートナーズのスタッフ河西です。
法人で事業を行っていると、地域のお祭りや花火の協賛などを依頼されることがあります。
今回は法人がお祭りや協賛などに協賛金を支出したり、物品を購入して贈答したりなどの場合に経費となるかについて説明いたします。
目次
寄付金となる場合
協賛金の支出や物品・サービスなどを提供したとしても、広告としてどこにも掲示されなかったりなどの場合はその支出の名目にかかわらず、寄付金として計上されます。
神社の祭礼等の寄贈金を支出した場合も寄付金として扱われます。
68の66(1)-2 事業に直接関係のない者に対して金銭、物品等の贈与をした場合において、それが寄附金であるか交際費等であるかは個々の実態により判定すべきであるが、金銭でした贈与は原則として寄附金とするものとし、次のようなものは交際費等に含まれないものとする。
第1款 交際費等の範囲|国税庁 (nta.go.jp)
- (1) 社会事業団体、政治団体に対する拠金
- (2) 神社の祭礼等の寄贈金
寄付金の場合は、基本的には対価性がないものとみなされるので、消費税は不課税となります。
例 地元の神社で開催される秋祭りに対して、協賛金10万円を拠出した。
この場合、領収書は発行されるが、広告効果はない、地域貢献の一部として拠出したもので、営業活動とは言いがたい、毎年の恒例行事であり、特定の取引先への接待行為目的などではないとなるため、「寄付金」とみなされます。

接待交際費となる場合
祭りの主催者が取引先である場合など、取引先に対する接待、供応、贈答などを目的として、支出した場合は接待交際費となります。
この場合の消費税はお酒やビールなどの商品を渡した場合に対価性ありと認められれば、課税仕入となりますが、商品券やビール券などを渡した場合は、非課税仕入となります。
例 日ごろお世話になっている取引先である丸製作所の工場祭りの実行委員となっている担当者に労いの気持ちとしてビール1ケース(約5,000円相当)を渡した。
この場合、主要な取引先の担当者であり、今後も良好な取引関係を継続するための贈答であるため、接待交際費となります。

広告宣伝費となる場合
お祭りのパンフレットに広告が掲載されていたり、提灯、のぼりに企業名を入れたりなど、不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用の場合は、広告宣伝費となります。
この場合の消費税は対価性ありと認められれば課税仕入となります。
例 地元の夏祭りで使用される山車や屋台に飾られる提灯に、会社名「株式会社小林商事」を掲示するために20万円を支出した場合
・祭りの規模が数万人の来場者があるなど大規模である。
・山車の正面部分や通り沿いの目立つ位置などに掲示している。
・提灯に「株式会社小林商事」「税理士法人小林・丸&パートナーズ」など企業名が明記されている。
・祭りのパンフレットや公式ウェブサイトなどにも協賛企業として社名が掲載されているなど
このように不特定多数の来場者に向けた宣伝効果が期待できる場合は「広告宣伝費」として処理することが可能です。

まとめ
寄付金となるか、接待交際費となるか広告宣伝費となるかは支出した意図によって異なります。
取引先への接待や交際費となる場合→接待交際費
不特定多数への宣伝効果がある場合→広告宣伝費
上記以外の場合→寄付金
となりますので、どれに該当するかチェックするようにしましょう。
また自己で判断に悩む場合は税理士等に相談するのも手です。
よくある質問
Q1. お祭りの協賛金はすべて経費にできますか?
A. 協賛金が「広告宣伝費」や「接待交際費」として認められる場合は、経費処理が可能です。ただし、純粋な寄付と見なされる場合は、寄付金として損金算入限度額の範囲内のみ経費となります。目的や広告効果の有無によって判断が分かれます。
Q2. 広告宣伝費として処理するためには、何が必要ですか?
A. 会社名が提灯やポスターなどに掲示され、不特定多数への広告効果があることが条件です。また、広告の実態を示す証拠(写真・契約書・領収書等)を保管しておくことが大切です。
Q3. 接待交際費と広告宣伝費の違いは何ですか?
A. 接待交際費は、取引先や関係者との関係維持・強化を目的とした支出です。一方、広告宣伝費は、不特定多数に向けた営業活動・知名度向上を目的とする支出です。対象や効果の違いで処理が分かれます。
Q4. 協賛金に対する領収書が発行されなかった場合は?
A. 領収書がなくても、協賛金の支払いを証明できる資料(振込明細や祭りの案内など)があれば、経費として認められる可能性があります。ただし、記録はできるだけ詳細に残すようにしましょう。
Q5. 消費税はかかりますか?
A. 広告宣伝費や接待交際費として処理する場合、支払先が課税事業者であれば消費税の仕入税額控除の対象となります。一方、寄付金として処理する場合は、消費税は不課税です。
Q6. 協賛金が税務調査で否認されることはありますか?
A. 協賛金の実態が不明確だったり、広告効果が薄い場合、または高額すぎる場合は、否認されるリスクがあります。目的や内容を明確にし、証拠資料を整備することで防ぐことができます。