副業300万以下なら雑所得へ変更。見直しへ

副業300万以下なら雑所得へ変更。見直しへ

税理士法人小林・丸&パートナーズのスタッフ河西です。
確定申告をされている方の中では、収入の先が一つではなく二つ以上あるかたもいらっしゃるのではないでしょうか。昨今では、シェアリングエコノミーやYoutuberなどの会社勤めではない働き方が増えており、積極的に副業をされている方も多いかと思います。

そんななか最近話題になっていた、副業300万円問題をご説明します。

売上収入300万以下は事業所得じゃなくなる?

国税庁が「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)(雑所得の例示等)に対する意見公募手続きの実施を行いました。

概要としては、昨今増加している、Ubereatsやココナラなどのシェアリングエコノミー等の「新分野の経済活動に係る所得」や「副業に係る所得」について所得の区分が難しいため、業務に係る雑所得の範囲の明確化を行うというものです。

当初案では、その所得がそのものの主たる所得でなく、かつ、その所得に係る収入金額が300万円を超えない場合には、特に反証がない限り、業務に係る雑所得と取り扱い、簡単に言うと売上が300万を超えない場合は雑所得の取り扱いになってしまう予定でした。

令和4年10月7日に改正通達の公表

意見公募を募集したところ、7059件の意見公募があり、令和4年10月7日に改正通達が公表されました。またこの7059件という数字は、通常の意見公募が多くて10件前後であり、ここ1,2年で一番多そうな意見数が「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)(保険契約等に関する権利の評価)に対する意見公募の結果について|e-Govパブリック・コメントの87件であるため、今回の改正に対する興味関心はすごく大きかったのでしょう。

パブリックコメントからの変更点

パブリックコメントからの変更点として下記の形で変更となることになりました。

社会通念上事業所得として認められるものは事業所得

社会通念上事業所得として判断され、所得に係る取引を帳簿書類に記録し、かつ、記録した帳簿書類を保存している場合には、収入が300万以下であっても事業所得と認められることが多いとされています。

その所得の収入の金額が僅少と認められる場合は雑所得

その所得の収入金額が、例年300万以下で主たる収入に対する割合が10%未満の場合は、「僅少と認められる場合」に該当します。

例えば主たる収入が500万であり、その所得が200万である場合は主たる収入に対する副業の所得が10%以上なので、僅少には該当しません。

また例年というのは概ね3年のことを指すため、たとえば、開業をして1年目などは、こちらの例年には該当しない可能性があります。

副業の所得を得る活動に営利性が認められない場合は雑所得

副業の所得が毎年赤字で、赤字を解消するための取り組みを実施していない場合は、「営利性が認められない場合」に該当すると考えられます。

所得税基本通達って?

所得税基本通達というのは、本来は法律ではなく、法令の解釈のことです。また通達とは、行政機関内部の文書のことをいうため、納税者が必ず従わなくてはいけないというものではないのですが、実際のところは通達は法律とほぼ同じ扱いとなっており、通達と違った処理を行うと税務署から否認されることとなります。

そのため基本的には通達に沿った申告にしておけば間違いないという判断が多いです。

改正後の適用時期は?

こちらの改正は、令和4年分以後の所得税、つまり次の確定申告から適用になってしまいます。

雑所得となった場合のデメリットは?

事業所得の青色申告特別控除が使用できなくなる。

雑所得になってしまう場合、青色申告の特別控除額65万が使えなくなってしまいます。もし売上がぴったり300万で経費がなかった場合、青色申告の特別控除を使用出来ていたら、300万-65万 = 235万の所得となっていたものが、65万を引けなくなってしまうので300万の所得となってしまいます。

損益通算ができなくなる。

事業所得であれば、損益通算といって事業所得で出た損失をサラリーマンで稼いだ給与所得で、補填することが出来ますが、配当所得、給与所得、一時所得、雑所得の損失に関しては、他の各種所得の金額から控除することが出来ません。

純損失の繰越控除ができなくなる

不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得の損益通算をしても引ききれなかった分は純損失の繰越控除といって青色申告をしている年分の純損失であれば、翌年以降3年間の所得の金額から繰越控除が可能ですが、青色申告が出来なくなり、雑所得に変わる場合、繰越控除が出来なくなります

純損失の繰戻還付もできなくなる

本年度純損失だった時に、前年度で純利益だった場合は純損失の繰戻還付という制度を活用することが出来ます。

これは、本年度の純損失を前年の黒字と相殺して、差額を還付してもらうというものですが、雑所得に代わってしまうと雑損失ではなくなってしまうため、こちらもできなくなります。

専従者給与の支給が出来なくなる

専従者給与といって、個人事業主が家族などに支給する給料や賞与の支払いを経費とできるものですが、こちらも適用ができなくなります。

少額減価償却資産の特例が使えなくなる。

30万円未満の減価償却資産を導入した際は、事業所得であれば、300万円を限度として全額を損金とすることができるのですが、雑所得となった場合はこちらを適用ができなくなります。

改正の狙いは?

サラリーマンの事業所得での赤字副業による節税の回避

事業所得で多く経費を計上して、給与所得などの所得と損益通算することによる節税の方法がありますが、おそらくこちらを規制するために改正を行おうとしていると思われます。

まとめ

売上が300万以下の基準が出来てしまった場合は、大きな痛手となるかたもいらっしゃったかもしれませんが、今回の改正は、しっかり帳簿を付けており、事業所得のみなどを申告している方であれば特に問題はないため、心配する必要はないかと思います。

ただし、改正の狙いでも書いてありますが、事業所得で赤字として、その他の所得との損益通算をしようとする方法は、営利性が認められない形となってしまいますので、こちらは注意しましょう。

事業所得の申告なら税理士に相談してみましょう。

税理士法人小林・丸&パートナーズでは、確定申告の際の会計の入力から申告まで、対応可能です。初回相談無料で行っておりますので、事業所得か雑所得か悩んだりしたら、弊所までご相談ください。

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