税理士法人ケイエム会計の河西です。法人や個人事業で青色申告の承認を受けている場合でも、申告を期限内に提出しない状態が続くと青色申告の承認が取り消される可能性があります。
特に注意が必要なのが
「2期連続で期限後申告となった場合」です。
青色申告は税務上多くのメリットがありますが、申告義務を適切に履行していない場合には税務署が承認を取り消すことがあります。
この記事では
・青色申告が取り消される条件
・1期だけ期限後申告の場合
・青色申告が取り消されるデメリット
・青色申告を再申請する方法
について解説します。
目次
青色申告とは?制度の概要とメリット
青色申告とは、一定の帳簿を備え付けて正しく記帳することを条件に、税務上のさまざまな特典を受けることができる制度です。
個人の場合は最大65万円の青色申告特別控除を受けられたり、家族への給与を経費にすることが出来たり、赤字を3年間繰越することが出来たりします。
法人の場合は、主に下記のようなメリットがあります。
・欠損金の繰越控除(最大10年)
・欠損金の繰戻し還付
・30万円未満の少額減価償却資産の特例
・各種税額控除
・特別償却
これらは企業の資金繰りや税負担に大きく影響するため、多くの会社が青色申告を利用しています。
青色申告が取り消される主なケース
法人税法では、次のような場合に青色申告の承認が取り消されることがあります。
主な取消事由
・帳簿書類を備え付けていない
・帳簿の記載が著しく不正確
・税務調査に協力しない
・申告書を期限までに提出していない状態が続く
この中でも、実務で多く見られるのが
期限後申告が続いたケース
です。
会社の経営状況が悪化した場合や、税理士変更などの事情で申告が遅れることがありますが、期限後申告が続くと青色申告の取消しにつながる可能性があります。
期限後申告とは?意味とペナルティ
期限後申告とは、法定申告期限を過ぎてから提出する申告のことをいいます。
法人税の申告期限は
事業年度終了の日から2か月以内です。
例えば 3月決算の会社の場合、申告期限は5月末になります。
この期限を過ぎて提出した場合は、期限後申告となります。
期限後申告となった場合、次のようなペナルティが発生する可能性があります。
期限後申告のペナルティ
・無申告加算税
・延滞税
・青色申告取消の可能性
そのため、申告期限は必ず守ることが重要です。
2期連続で期限後申告になると青色申告が取り消される可能性
法人では
2期連続で期限内申告がされていない場合
青色申告の承認が取り消される可能性があります。
例えば次のようなケースです。
| 事業年度 | 状況 |
|---|---|
| 1期目 | 期限後申告 |
| 2期目 | 期限後申告 |
| 3期目 | 青色申告取消の可能性 |
この場合、税務署は青色申告の承認を取り消すことができます。
ただし、実務上は必ず取り消されるわけではなく、会社の状況などを考慮して判断されることもあります。
税法上の取り扱いは国税庁の事務運営指針でも示されています。
法第127条第1項第4号の規定による取消しは、2事業年度連続してその提出期限内に法第74条第1項の規定による申告書の提出がない場合に行うものとする。この場合、当該2事業年度目の事業年度以後の事業年度について、その承認を取り消す。
法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)|国税庁 (nta.go.jp)
つまり、2期連続で期限内申告がない場合、2期目以降の事業年度について青色申告の承認が取り消される可能性があります。
1期だけ期限後申告の場合はどうなる?
1期だけ期限後申告をした場合は、
すぐに青色申告が取り消されるわけではありません。
法人税法では
- 2期連続で期限内に申告書が提出されていない場合
に青色申告の承認取消しが行われるとされています。
そのため、
| 年度 | 状況 |
|---|---|
| 1期目 | 期限後申告 |
| 2期目 | 期限内申告 |
このような場合は、青色申告は継続されます。
ただし、期限後申告が続くと税務署からの印象が悪くなるため、注意が必要です。
無申告の場合はさらに注意
期限後申告ではなく
申告自体をしていない「無申告」
の場合はさらに注意が必要です。
無申告の場合、税務署が調査を行い税額を決定することがあります。
この場合のペナルティは大きくなります。
無申告のペナルティ
・無申告加算税(最大30%)
・延滞税
・重加算税(最大40%)
さらに、無申告の状態が続くと税務署からの信頼が大きく低下し、税務調査の対象となる可能性も高くなります。
青色申告が取り消されるデメリット
青色申告が取り消されると、以下のような税務上のメリットが使えなくなります。
主なデメリット
・欠損金の繰越控除(法人は最大10年)
・欠損金の繰戻し還付
・30万円未満の少額減価償却資産の特例
・各種税額控除
・特別償却
これらは多くの企業で利用される制度のため、
青色申告の取消しは税務上かなり大きな影響があります。
実務でよくあるケース
実際の税務実務では次のようなケースが多く見られます。
・休眠会社で申告を忘れていた
・税理士を変更する際に申告が遅れた
・決算書が作成できず期限後申告になった
・資金繰りが厳しく申告を後回しにした
このような場合でも、
早めに期限後申告を行うことでペナルティを最小限に抑えることができます。
期限後申告が続くと税務調査の対象になりやすい場合がある
期限後申告が続く会社は、
- 帳簿管理ができていない
- 税務コンプライアンスが低い
と判断されやすく、
税務調査の対象となる可能性が高くなることがあります。
そのため、申告期限は必ず守ることが重要です。
青色申告は再申請できる
青色申告が取り消しになった場合でも、青色申告承認申請書を提出することで再申請することは可能です。
ただし、法人税法では青色申告の承認取消通知を受けた日から1年間は再申請ができない
とされています。

期限後申告になった場合は早めの対応が重要
申告期限を過ぎてしまった場合でも、できるだけ早く申告を行うことが重要です。
早めに申告することで
・無申告加算税の軽減
・延滞税の増加防止
につながります。
また、帳簿整理や税額計算が難しい場合は、税理士に相談することで適切な対応が可能になります。
まとめ
無申告や期限後申告が続くと、青色申告の承認が取り消される可能性があります。
特に注意が必要なのは
2期連続で期限後申告となった場合です。
青色申告が取り消されると
・欠損金の繰越控除
・少額減価償却資産の特例
など重要な制度が利用できなくなります。
そのため、申告期限は必ず守り、万が一期限後申告となった場合でもできるだけ早く申告を行うことが重要です。
無申告や期限後申告は、税務リスクが高くなる可能性があります。
申告対応や帳簿整理でお困りの場合は、税理士に相談することをおすすめします。




